「世界的に有名なランジェリーブランドなのに、日本ではお店を見たことがない」。
そう感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
アメリカ発祥のヴィクトリアシークレットは、セクシーでゴージャスなデザインの下着で多くの女性たちを魅了してきました。
けれども、日本国内には現在、常設の直営店が一店舗も存在していません。
なぜこれほど有名なブランドが日本市場に本格的に参入しないのでしょうか?
その背景には、体型や文化の違い、価値観の変化、企業イメージへの影響など、さまざまな事情が複雑に絡み合っています。
この記事では、ヴィクトリアシークレットが日本に進出しない理由を掘り下げながら、通販での購入方法や今後の動向についても詳しく解説していきます。
2025年現在の最新情報も交えながら、ブランドの現在地を見ていきましょう。
日本人の体型とフィットしないサイズ展開
ヴィクトリアシークレットの多くの製品は、欧米人の体型を基準にデザインされています。
特にブラジャーのカップサイズやワイヤーの形、ヒップのカッティングなどに、その特徴が強く現れます。
一方、日本人女性は欧米人と比べて骨格が華奢で、バスト位置やアンダーサイズにも違いがあります。
この違いが、フィット感や快適さに大きな差を生んでいるのです。
過去に日本で展開された期間限定のショップでは、多くの人が試着には訪れたものの、「サイズが合わない」「着け心地が合わない」という理由で購入を見送るケースが目立ちました。
同じような悩みはアジア各国の女性にも見られ、近年では中国市場ではアジア仕様のサイズ展開を導入するなど、一部ではローカライズの動きも始まっています。
ただし、日本ではこの取り組みはまだ本格化していません。
「セクシー重視」から時代に合わないブランドへ
ヴィクトリアシークレットは、かつて「女性らしさ」「完璧なプロポーション」「セクシーさ」を前面に押し出すことで、世界的な成功を収めてきました。
その象徴が、選ばれたモデルだけが参加できる「ヴィクトリアズ・エンジェル」でした。
しかし、近年では多様性や自己肯定感を重視する価値観が世界的に広がり、「ボディポジティブ」や「ナチュラルビューティー」が支持されるようになりました。
この流れに乗り遅れたヴィクトリアシークレットは、若い世代を中心に「時代遅れのブランド」という印象を持たれるようになってしまいました。
過去の広告では、細くて長身な白人女性ばかりが起用されており、「一部の理想を押し付けるブランド」という批判も高まっていたのです。
象徴だった「エンジェル制度」の終了
ヴィクトリアシークレットの「エンジェル」は、選ばれたトップモデルだけが参加できる、憧れの象徴でした。
しかし2019年を最後に、この制度は正式に廃止されました。
「多様性を尊重しない」「現代女性のリアルからかけ離れている」といった批判が続いたため、ブランドは方針転換を余儀なくされたのです。
これにより、長年培ってきたブランドの「顔」を失うことになりました。
代わって登場したのは、よりリアルな女性を起用するキャンペーンや、年齢や体型にとらわれないモデル選びでした。
とはいえ、それが必ずしもブランド再建につながったとは言い切れず、過去の強烈なイメージとのギャップが消費者の戸惑いを呼んでいる面もあります。
毎年恒例だったファッションショーの終了
かつて世界中の注目を集めていたヴィクトリアシークレット・ファッションショーは、2019年を最後に中止されました。
豪華なセットや音楽ライブ、エンジェルたちの華やかなパフォーマンスが特徴でした。
このショーは、テレビやSNSを通じて新しい顧客を引きつける強力なマーケティング手段でもありました。
特に、海外での認知度が高くない地域にとっては、ブランドの存在感を知るきっかけでもあったのです。
日本でも、ショーをきっかけにブランドの存在を知った人も多かったでしょう。
そのショーがなくなったことで、ブランドとの接点が減り、興味関心を持つ人も減ってしまったのかもしれません。
ハラスメント問題による企業イメージの失墜
2020年、ヴィクトリアシークレットの親会社「Lブランズ」の幹部が、モデルに対して不適切な発言やセクハラ行為を行ったとして大きく報道されました。
この件は、企業文化全体への不信感を呼び、ブランドイメージに大きな打撃を与える結果となりました。
とくに日本では、企業の社会的責任や倫理的な姿勢を重視する文化があります。
そのため、こうした問題が未解決である限り、新たな店舗展開は難しいと見られます。
2022年以降は、社内改革やダイバーシティ重視の方針が徐々に導入されていますが、信頼の完全な回復には時間がかかるでしょう。
世界中では今も店舗を展開中
2022年時点で、ヴィクトリアシークレットは世界に約1,400店舗を展開しており、アメリカ本土では依然として高い人気を保っています。
アジアでは中国、香港、シンガポールを中心に出店が進んでおり、アジア仕様の商品も一部で展開されています。
ただし、ヨーロッパでは出店地域が限られており、撤退する国もあります。
以下の表に、2025年現在の主な展開状況をまとめました。
地域 | 店舗展開状況 |
---|---|
アメリカ | 約1,000店舗で安定した人気 |
中国 | アジア向け戦略として拡大中 |
シンガポール・香港 | 複数のショッピングモールに出店 |
日本 | 直営店舗なし。通販と輸入品が中心 |
ヨーロッパ | 一部地域にのみ限定的に展開 |
日本国内ではポップアップストアが過去に話題に
2018年、新宿にヴィクトリアシークレットのポップアップストアがオープンしました。
このショップは日本初上陸を記念して設けられ、非常に多くの人が訪れました。
ランジェリーだけでなく、香水やボディケア商品なども販売され、ブランドの世界観を直接体感できる機会となったのです。
しかし約2ヶ月で閉店となり、その後は常設店が出店されることはありませんでした。
「話題性はあったが、売上にはつながらなかった」とする報道もあり、日本市場の難しさを象徴する出来事となりました。
2025年現在、再出店の予定はあるのか?
現時点で、ヴィクトリアシークレットが日本に再び常設店を出店するという公式な発表はされていません。
とはいえ、東京という世界的なファッション都市に魅力を感じていないわけではないようです。
2023年以降、アジア人モデルを積極的に起用するなど、日本市場を含むアジア市場への意識は高まってきています。
将来的には、再び期間限定ストアやコラボレーション企画などで再上陸する可能性もあるでしょう。
ただしそのためには、商品のサイズ展開やイメージ戦略の再構築が必須とされています。
通販で購入できるが注意点も多い
日本では現在、ヴィクトリアシークレットのアイテムを購入する手段は公式通販サイトか、輸入販売サイトに限られます。
以下のような商品が通販で取り扱われています。
商品ジャンル | 内容 |
---|---|
ランジェリー | ブラ、ショーツ、セットなど |
ルームウェア | ナイトウェア、キャミソール、パジャマなど |
ビューティ商品 | 香水、ローション、ボディミストなど |
水着 | シーズン限定のビキニやワンピース |
ただし、通販にはいくつかの注意点があります。
- サイズ表記が日本とは異なり、試着できないため慎重な選択が必要
- 購入金額が100ドル以下の場合、送料が15ドル(約1,800円)かかる
- 到着には2〜4週間程度かかる
- 返品は海外返送となり、送料の自己負担が発生する
商品が届かない場合は、公式サイトのカスタマーサービスに注文番号と連絡先を添えて問い合わせましょう。
日本人モデルの起用がブランドの変化を象徴
ヴィクトリアシークレットは、近年アジア人や日本人モデルの起用を増やしています。
2020年には、日本人モデルの小椚ちはるさんが春コレクションに登場し話題となりました。
そのほか、父方の祖母が日本人のユミ・ランバートも過去にショーに出演しています。
さらに、日本とスウェーデンのハーフである俳優ダレン・バーネット氏も男性モデルとして起用されました。
こうした取り組みは、ブランドが多様性を意識して変わろうとしている証でもあります。
今後も日本市場に配慮したキャスティングが増えれば、再進出のきっかけにもつながるかもしれません。
まとめ:再進出への鍵は「変化への対応力」
ヴィクトリアシークレットが日本に店舗を出さない背景には、サイズや体型の問題だけでなく、ブランドの価値観や企業の透明性といった深い課題があります。
しかし、過去のポップアップストアの成功や、通販での需要、日本人モデルの起用など、ブランド側の日本市場への関心も見て取れます。
今後、ブランドが時代の流れに合わせて変化し続けることができれば、東京などでの再出店の可能性は十分にあるでしょう。
まずは、公式通販をうまく利用しながら、ヴィクトリアシークレットの進化を見守っていくのもひとつの楽しみ方です。